アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。
10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来たしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。
先月号に書いたように、やっと仕事がみつかった。もう日本に帰ろうと思っていた矢先に奇跡のようにみつかった。これを祝って、ミニ家族旅行を敢行した。
主目的は、マロン(自称。5歳の息子。)の行きたがっていたロスのユニバーサルスタヂオに行くことだ。ついでにオレのまだ行ったことのないサンディエゴにも足をのばす。(結果的にはメキシコ国境を越えてティワナまで行ってしまった。)これを3泊4日で行う、ちょっときつい日程だった。もちろんオレのことだから、トラブル続きだ。
今回の旅行では、オークランドからロサンゼルス国際空港 (以下 LAX)まで Southwest Airlines という、 斬新な経営で有名な航空会社を使う。 ここは直前に予約しても安い料金で航空券を購入できる。 大人2人に子供1人で600ドルしなかった。 他の航空会社と違って変わっているのは、まず、搭乗券を発券しないこと。 その変わりに、プラスチックの番号札を渡されて、これで搭乗の順番が決まる。 搭乗の順番といっても、 搭乗する時に分かれるグループのどれになるかが決まるだけで、 別にこの順番通りに列に並ぶわけではない。 そして、座席指定はない。 バスのように、空いている席をみつけて適当に座る。 機内サービスも徹底的に簡素化されており、スナックはピーナッツと決まっている。
何年か前、経営学の授業で見せられた SWA のコマーシャルでは、 スチュワーデスが棚の中から出てきて客をびっくりさせるというのがあったが、 さすがにそんなことはなかった。
長い列に並んで、レンタカーの鍵をもらい、いざ車に乗る。 外見はけっこう新しそうな車だが、操作してみてがっかり。 パワーウィンドウでも、パワーミラーでも、パワーロックでもない。 全部手動。 それどころか、パワーステアリングですらない。 レンタカーでパワステでない車とは珍しい。 そのくせなぜか CD 搭載というちぐはぐさ。 しかし、エンジンのパワーだけはあって、その点では、 我が家のオンボロのアコードに不満のオレには、とても快適。 車はこうじゃなくっちゃね。
しかし、www.discount-hotels.com (有名な Travelocity の別サイトらしい) を通して予約した Nite Inn というところは、同サイトにあった記述とはあまりにも違い、愕然とする。 一流ホテル「a first-class hotel」 と書いてあったのに、 概観はみすぼらしく、看板にはでかく MOTEL と書いてある。 まあ、モーテルがホテルに劣るとは一概には言えないが、 それにしても、一流にはとても見えない。
部屋に通されてさらにびっくり。 殺風景な部屋で、冷蔵庫はあるが、テーブルも椅子もない。 洋服かけは、剥き出しだし、 洗面台はいかにも安アパートにあるような最低のもの。 バスタブもないし、コーヒーメーカーもない。 高速道路の音はやかましいし、カーペットは不潔な感じ。 予約時の記述には、 アイロンとアイロン台と目覚まし時計があることとはっきり書いてあるが、 そんなものはどこにも見当たらない。 あるのは、ドラッグストアで10ドルで売ってそうな安い電話だけだ。
さっそく discount-hotels.com のカスタマーサービスに電話で抗議。 とりあえず、2泊目は違約金なしで取り消すことに同意してもらったが、1泊目は取り消せないという。 しかたないので、この日はここで1泊する。 5歳のマロンですらここが最低の所とわかるらしく、明日もここに泊るのかと心配顔で何回もきかれた。
フロントに行き、さりげなく、食事はどこ、ときくと、 小さなマフィンの並んだちいさな容器を指差して、これだという。 マフィンとコーヒーだけ? これではコンチネンタルブレックファーストではない。 少なくともパンとバターとオレンヂジュースと果物がつくというのは、 世の中の常識だ。 アメリカのすべてのモーテルでも、ブラジルで泊った安宿だってそうだった。 しかもマフィンときたら、オレが 4x 年生きてきた中で見た最小のマフィンだ。 神田精養軒のマドレーヌぐらいの大きさ。 個数が少ないので、一人で何個も持っていく気にならないし、 だいたい皿がないので、1個持っていくのだって大変だ。 (食堂がないので、部屋に持っていく必要があった。) しかも、まずい。
オレは本当に頭に来た。 これで1泊100ドルは詐欺だ。 オレの感覚では、40ドルがいいとろだ。 というわけで、旅行後、 diecount-hotels.com に抗議文を書いて、 1泊目の旅行代金も一部払い戻すよう請求したが、これについては後日また詳しく書く。
昨夜レンタカー屋でついでに買ったディスカウント入場券で、入場。
そこは、異次元の世界。 映画の中にでてくるキャラクターが客に混じって歩いている。 まず、満足に食べていない朝食をここで食べ直す。 テーマパーク内のレストランにしては、なかなか納得の値段。
次に、スタヂオツアーという、実際の撮影スタジオを見るツアーに参加。 これは、バスを5台ぐらいくっつけたような車にのって行うが、 説明の兄ちゃんは実にエンターテイナーで、楽しい。 ただスタジオを見学するだけかと思ったら、 ちゃんとツアー用のしかけがあり、例えば、 地震直後のサンフランシスコの地下鉄 (BART という名前ではないが、 路線図が BART とそっくり。) 構内のセットをバスで通り抜けると、 途中で路盤がくずれてトラックが上から降ってきたり、漏水が発生したりして、 客をびっくりさせる。 オレは、スタヂオというので屋内の施設を思い浮かべていたが、 実は西部劇の街並とか、アメリカの典型的な住宅地とか、が 屋外に作られていた。 また、いくつもあるスタジオでは、実際に撮影が行われているところもあった。
ユニバーサルスタヂオの入場料金は、詳しくは忘れたが、3人で100ドル近くした。 高いなぁ、と思っていたが、スタヂオツアーだけで元が取れる。 ちなみに、ツアーやアトラクションは入場料に含まれており、別料金を取られることはない。 久々に納得のいい買い物だった。
ユニバーサルスタヂオに来た主目的は、 映画ジュラシックパークの大ファンのマロンをジュラシックパークの乗り物 に乗せることだった。このアトラクションは、 Jurrasic Park the Ride という名前で、 ボートに乗ってジュラシックパークのセットの中を見て回る(想像)のだが、 参加者の身長制限がある。 マロンは1インチ(2.5cm)ほど足りず、搭乗できなかった。 その代わり、施設入り口にあったジェラシックパークの車の前で記念撮影をし、 ジェラシックパークの帽子を買い、 乗れなかったボートが水しぶきをあびて出てくるところを見学した。
ユニバーサルスタヂオでは、他に、特撮の説明ツアーに参加したり、 バックツーザフューチャーの乗り物に乗ったりと、いろいろ楽しんだ。
LA から2時間ちょっとで、ホテルに到着。 今度は、外観からして新しく、プールもあるので、ほっとする。 マロンはプールに入りたいと騒ぐ。 しかもチェックイン時に確認したところ、予約時に言われた料金よりもなぜか安い料金だったので、二重にうれしい。 部屋に行くと、昨夜の2倍の広さ、掃除の行き届いたカーペット、 ふかふかのベッド、もちろんテーブルと椅子もある。 おまけに、アイロンとアイロン台もあるし、バスタブは泡の出るタイプで、 妻も喜ぶ。 そうそう、ホテルはこうじゃなくっちゃ。
昨日に比べると、食も住もまさに天国だ。ということで、この日は幸せな気持ちでふかふかで清潔なベッドで寝た。
そこへ行く前に、まずダウンタウンをドライブしたが、何やら活気なし。一番のダウンタウンのはずのエリアを通っても、がらーんとしていて、ちっとも渋滞なし。その割にはやたらと一方通行だとか左折禁止・右折禁止が多くて、とても走りにくい。ダウンタウンには何もない、と判断して、ハーバービレッジへ。
ハーバービレッジは、ダウンタウンよりは活気があるが、しかし、ここもイマイチにぎわっていない。整備された公園の中に小さな店を配置した、とてもきれいなモールなのだが、活気がない。時期が悪いのか?ストリートパフォーマーなど一人も見かけなかった。ここで、お土産を買い、遅いランチをした。
レンタカーはメキシコ国内では保険が無効となるので、入国できない。国境付近のアメリカ側の駐車場に泊め、ここから歩いて国境を越える。
入国と言っても、メキシコへの入国は実にあっさりしている。一方方向にしか行けない回転式ドアをくぐると、もうそこがメキシコ。パスポートの検査も何もない。しかし、表示はすべてスペイン語に変わった。さらにしばらく歩いて、ほとんど干上がった川の上にかかる橋を超えると、正真正銘のメキシコの町並み。チョリソーや、タコスを売る屋台があちこちにあり、お土産屋が続く。
メキシコの野良犬はアメリカにいる野良犬(そもそもいない?)に比べて、やせこけている。アメリカには絶対いない、子供の物乞いや物売りもいる。生活がリアルだ。
ここで、1時間ちょっと滞在してお土産を買ったところで、もう5時だ。今度はバスに乗ってアメリカに帰る。
国境を越えるバスはたった1ドル。お土産満載を手にしたアメリカ人を乗せてバスは出発。市内をのろのろ走った後、20分ほどで、アメリカ側入国審査場で乗客は一旦全員降ろされる。降りた所にいる案内係のような人にパスポートを見せ、永住権を持っていることを告げると、ああじゃああっちね、と言って、違うドアのところに移動したバスに乗るように指示される。ちゃんとした入国審査はなく、ハンコも押してくれない。税関検査もなし。うーん、簡単だが、メキシコに入った証拠が何もないのは寂しい。
マロンがホテルのプールに入りたいというので、行ってみるが、水温も気温も低く、ちょっと泳げず、プールサイドのジャクジーに入っただけで帰る。マロンは残念そう。
夕食は再び港へ行き、昼間目につけておいた Anthony's Fins Grotto San Diego Bay という魚料理のレストランに入る。Stuff Sole という、蟹肉を白身魚の薄切りで巻き、パスタといっしょにホワイトソースにつけたものと、エビ・貝柱・太刀魚の串焼きを食べるが、なかなか美味。いっしょに出たパンもおいしかった。
ということで、若干サンディエゴの町の活気のなさにがっかりしたものの、旅の3日目も、中々幸せであった。
といってもホテルのすぐそばで、車で10分かからない。ここは、西部開拓時代を思わせる町並みを再現した州立公園だ。施設内には、西部劇に出てくるような家が点在してある。その家の一部は博物館のようになって、幌馬車やら、その頃の生活用品やらが展示してある。他の建物は、おみやげ物やレストランだ。歴史というものにあまり興味のないオレではあるが、まあまあ面白かった。ここで写真をいろいろ取ったが、カメラの調子が悪く一枚も残っていないのが残念。
ちょっと忙しい旅ではあったが、第一日目を除いては充実していた。
コーラーIDというのは、発信者の電話番号を(場合によっては名前も)表示してくれる機能だ。 ただコーラーIDの表示器がついただけのフツーの留守番電話を想像していたが、この留守番電話はちょっと手が込んでいた。 まず、発信者番号によって呼び出し音を変えたり、応答メッセージを変えたりという芸当ができる。 応答メッセージは、別々に8つ録音することができ、相手によって異なるメッセージを流すことができる。 また、ストーカーっぽい人に対しては、通話拒否を伝えた上で切ってしまう機能もある。 コーラーIDは、発信者側で送らないようにすることも可能だが、そのような人に対しては、通話拒否の応答メッセージを送ることもできる。 コーラーIDを使って、まあよくいろいろなことを考えるものだと、オレは感心してしまった。
ただオレの場合困るのは、国際電話ではコーラーIDが利かないということだ。 経験では、ISDN からかけた場合は、番号を表示してくれることがあるようだが、普通の電話回線からだと、番号不明となってしまう。 これはどうしようもないことなのだろう。
この留守番電話には一つ大きな欠陥があることを残念ながら指摘しておかねばならない。 それは、電源が切れると時計がリセットしてしまうということだ。 録音メッセージや設定は停電してもちゃんと保持されるのに、なぜか一番電気を食わないはずの時計だけがリセットされる設計になっている。 間違ってACアダプターがコンセントから抜けたり、一瞬でも停電になったりすると、時計をセットしなおさなければならない。 今年は電力不足で多数の停電が予想されているカリフォルニアで使用するにはちとつらい。 何でこんな間抜けな仕様なのか、理解に苦しむ。
来月は、VCR (VTR) を紹介する。
一方アメリカでは、健康保険は基本的に個人の問題。低所得者と老人のための公的な健康保険制度があるにはあるが、それで医療を受けられる施設は限定されていたり、条件が厳しく、その制度から漏れてしまう人がいたりと、問題ありのようだ。そこそこの規模の会社は、社員に対する健康保険が福利厚生の一部として提供されるが、個人で仕事している人、零細企業の社員、そして失業者は、自分で保険金を払って、民間の医療保険を買わなければならない。
オレは、2月から某派遣会社で派遣社員を始め、この会社には健康保険制度もあった(有料だが個人で加入するよりはずっと安く、加入前の事前審査もない)のだが、加入可能時期が4月からとなっていた。このため2月と3月は自分で健康保険にかからなければならず、いろいろ調べて料金の安いヘルスネット(HealthNet)というところに、申し込んだ。申し込み時には、一月分の保険料を前払いした。2月中旬のことだ。3月1日から有効になるはずだった。
ところが3月に入っても何も連絡なし。おかしいと思って保険代理店に調べてもらうと、まだ審査中で、保険は有効になっていないという。1月に日本で医者にかかった時の診断内容と処置を詳しく知らせろという通知が来たので、内容を保険代理店に知らせて、代理で返事をしてもらったところ、やっと3月15日から保険が有効となった。 4月になって、派遣会社の保険が有効になったので、4月1日にさかのぼってヘルスネットの保険を解約するように保険代理店に頼んだ。伝えたのは4月3日だったが、業界の慣習として、他の保険会社の保険が有効になったら、その日にさかのぼって前のを解約できるはずだから安心しろと代理店はいう。
ところがそのうち、ヘルスネットからとんでもない請求書がやって来た。6月分までまとめて払えという。ヘルスネットに電話して解約したはずというと、6月まで請求したのは間違いと認めたが、それでも4月分は払えという。おいちょっと、何で4月分必要なの?こっちは、3月15日から3月31日の半月しかお世話になってないのだから、追加で払うどころか、前納した一月分のうち半月分を返してくれるのが筋じゃないの?と質問すると、いや、うちの方針で、30日の事前通知がないと解約できないとかなんとか。アホか!と言って電話を切り、保険代理店へ電話。保険代理店がヘルスネットと掛け合うが、ラチあかず。こんなことは初めてだという。たぶんほっておけばそのうち請求をあきらめるだろうとのこと。ただし、信用調査機関に未納として登録されてしまい、将来のクレジットカードの申請に影響するかもしれないとのこと。
そうこうしているうちに、5月中旬にまたヘルスネットから請求書。今度は、支払い遅延加算料金が上乗せされている。ふさけんな!オレは小切手の代わりに、オレが支払いをする必要のない理由を書いて、送り返した。要は、30日事前通知がないと解約しない、というのはオタクの作った勝手なポリシーで、そんなものオレは認めん。そもそも業界の慣習にも違反している。もし加入時にそのポリシーに同意するという署名をオレがうかつにもしているのなら、その契約書のコピーをみせろ、という内容だ。それから一月ほど経つが、ヘルスネットからは何も言ってこない。あきらめてくれたのだろうか?・・・と思ったら今日また請求書が来た。あきらめの悪い連中だ。こんな奴らと話を続けてもしかたないので、カリフォルニア州保険局のホームページ をみつけて、そこに苦情を書いた。ホームページで苦情を受け付けるとは、州政府もなかなかやるわい。
来月は、L.A. の日本人経営中古車屋を糾弾する。
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