アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。
10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来てしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。
サンフランシスコ湾岸地区(ベイエリア)には、BART (バート)と呼ばれるサンフランシスコから周辺地域に放射状に延びる中距離鉄道がある。
東京では、ほとんどの鉄道会社が車内でのケータイによる通話を禁止しており、会社によっては通話以外の目的(留守電のチェックやメール)も禁止でスイッチを切れという所も珍しくないが、BART では特にそのような規則はない。かといって、日本のように(禁止しているにもかかわらず)車内のかなりの人がケータイで話したりメールを送ったりという光景も見られない。(日本人はやはりケータイ中毒?)
BART 発行の11月付けニュースレターによると、BART では湾横断トンネル内でもケータイが使えるようにする工事を開始することになったそうだ。記事によると、こちらでもやはりケータイで話す声がやかましいとかいろいろ苦情もあったらしいが、利用者アンケートの結果、トンネル内でもケータイが使えた方が便利、という声が圧倒的だったため、工事をすることになったそうだ。家族が救急病院に運ばれるので救急車の隊員と話していたところトンネルに入ったので通話が切れたて困った、(だから工事しろ)なんていう逸話が書かれていたが、そもそもそんな緊急事態なら、電車から降りてホームで話せばいいのにね。これはちょっとこじつけっぽいぞ。
それにしても、東京では禁止するほうに傾き(おまけにその禁止事項は守られていなく、鉄道会社も「お客様マナーの問題」とか言って積極的に守らせる気もない)、サンフランシスコでは便利にする方に傾く。同じ問題にの対処方法が、所変われば全く逆になってしまうところが面白い。
一昔前のボスのコマーシャル (そういやあの時はクリントン大統領だったなぁ) じゃないけど、今月はもう大統領にガツッと言ってやるもんね。覚悟しとけよ、ブッシュ!
9月11日のワールドトレードセンター崩壊の後、ブッシュは、テロになんか負けたらあかんから、とか理屈こねて、通称2001年愛国法というとんでもない名前の法律をあっというまに国会に作らせてしまった。何でも100ページ以上ある法律で、議案ができてから1週間かそこらで通過したので、議員も真面目に中身を全部読んでないのではないかという評判の法律だ。要するにテロの犯人を捕まえるために、犯罪捜査の手続きを簡略化して、令状なしでの捜査を認めてみたり、外国人は令状なしで拘束ができるようにしようという法律だ。これで、捜査当局は電話の盗聴や電子メールの傍受などを、ほぼ自分達の判断だけでできるようになったらしい。しかも、この法律、別に9月11日の事件の捜査に限定しているわけでも、テロ組織の壊滅に限定しているわけでもない。どんな事件の捜査にも使える。
これじゃ、警察国家だ。アメリカが誇ってきた、小さな政府、政府からの自由、市民的自由の保護等は、テロ撲滅の御旗の元、完全に葬り去られたことになる。アメリカは自由の国ではなくなった。テロ犯の計画通りじゃないか。はっきり言おう。アメリカはすでに敗北した。仮にオサマーラディンを殺害したところで、アメリカは敗北したのだ。
この法律の一部だったか別立てだったか忘れたが、来年のいつからだか、空港で人や荷物の検査をするスクリーナーと呼ばれる人達は、アメリカ国民でなければならない、ということになる。これも筋の通らない話だ。9月11日の後一部の議員達が、スクリーナーは最低賃金で雇われた人達が多くて、ちゃんと機能してないんじゃないか、と話をしていた。最低賃金だからちゃんと機能しない、というのもよくわからない話だが、まあわからないわけでもない。最低賃金で働く人→社会の底辺の人→教育がない、最低賃金→やる気なし、とかの理由で、検査がいい加減になる。じゃあ、スクリーナーの質を高めるために、給料をよくして、教育もちゃんとしよう、という結論になったのなら話がわかる。ところが、いつの間にやらこの話が、最低賃金→(アメリカ市民権未取得の)移民が多い→いい加減、にすり替わってしまった。なんで?アメリカ人ならいい仕事をして、移民ならいい加減な仕事をする?オレなんか、おい、逆じゃないかー、と思ってしまう。(ここで関係ない話:さっきバスに乗ってダウンタウンに行ったが、途中で運転手の交替があり、交替時に運転手通しが5分ぐらい立ち話。これがフツーのアメリカ人だと思う。こんなこと日本でやったら、クビだぞ。)
しかし何よりそれよりオレが失望したのは、議員と一般国民。こんな無茶苦茶な法律の成立に反対したのは、何と一人だけなのだ。国民もあらかた、ブッシュのやり方に賛成なのだ。割とロジカルで、きちんと行政府を監視していた議会はどこに行った?いったい、アメリカの良心はどこに行った(そんなもん始めっからない?)?行政から干渉されないことを大事にしてきた人々はどこに行った?
オレは、自由の国に住みたくて引っ越して来たのに、このザマだ。ああ、来るんじゃなかった。くそー。
11月に日本へ行った目的のひとつは服を買うことだった。オレは足もそうだが手も短く、おまけにやせ型。アメリカで服を探したが、どれもちょっと大きすぎ。だからといって子供コーナーの服では小さすぎる。どっちつかずなのだ。大型人間が圧倒的多数を占めるアメリカでは、サイズの合う服を探すのに苦労する。だから、日本に帰って服を大量に買ってくる予定だった。
が、実際に今回日本に帰ってみると、三つの誤算で結局少ししか買えなかった。
第一の誤算は、気に入っていた服屋、ミツミネや、それに類似した店(紳士服とカジュアルの中間の店) があらかた潰れてしまっていたこと。代わりにユニクロが街のいたるところに大繁殖していた。ユニクロはもともと車で行く郊外型店舗で大きくなったのに、それが駅前にまで進出。渋谷にまであるのにはびっくりした。まるで、スターバックスのようで、ちょっとイヤ。(もっとも、別にオレはユニクロとスターバックスがきらいなわけではない。)
第2の誤算は、もう秋なので、ユニクロは冬物しか置いてなかったということ。ドレスシャツが欲しかったのだが、ユニクロにはコーデュロイの厚手のシャツしかなく、これではいくらなんでも仕事には使えない。しかたないのでフツーのデパートに行ったのだが、ここでショックの第3の誤算が明らかになる。
第3の誤算とは、三年前に日本の服の規格が変わり、もうオレのようなやせ型の人のためのシャツは作ってない、ということ。ガーン!行ったそのデパートにはボタンダウンの S サイズは置いてないとのこと。えぇ〜〜〜、それじゃアメリカの服屋で買うのと同じやんかぁ〜。どうやらもうオレには服に関しても日本も安住の地ではないようだ。どっか小さな人たちの多い国に移住を考えたほうが良さそうだ。
我が家にハムスターがやってきた。名前をちゃーちゃんという。急遽日本帰国になった方から譲ってもらったものだ。妻子は冬休みで帰ってしまったので、オレはハムスターと新年を迎えることになる。
明日とあさっては一年で一番いやな日だ。クリスマスイブとクリスマス。オレはクリスマスは祝わないが、別に他の人が祝うのはかまわない。ただ困るのは、どこをつけてもラジオが一日中クリスマスソングを鳴らし続けるということだ。明日とあさっては自分で CD をかけなければならない。
今年、このくだらないエッセイを読んでくださった読者の皆様、皆さんいいお年をお迎えください。
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(C) 2001 KUROSAKA Teruhiko