アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。
10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来てしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。
日本から引っ越す時、息子の大好きなジェラシックパークの日本語版 DVD 連作セット2枚入りを買ってやった。アメリカに引っ越した後では日本語版 DVD が入手できないと思ったからだ。そして、引越し後しばらくして DVD プレーヤーをガレージセールで $100 で買い、ジェラシックパークを見ようとしたが、見れなかった。なぜか?リージョンコード(地域番号)のせいだ。
リージョンコードというのは、ハリウッド映画業界の圧力で発明され、DVD に取り入れられた消費者泣かせの仕組みだ。世界をいくつかの地域にわけて、ある地域で発売される DVD は、その地域で発売されている DVD プレーヤーでないと再生できないようにしてある。例えば北米地域で販売される DVD をおみやげに買って日本の親戚にあげても、日本の親戚は再生できないのというわけだ。
ハリウッド映画は世界一斉公開されることはごくまれで、通常はまず北米で公開し、半年ぐらいしてから日本で公開、という順番になっている。それから、DVDの発売時期は、通常映画の劇場での上映の終わった後となる。上映と同時に DVD を発売すると、映画館に行かずに DVD だけで見る人が大量に発生すると、ハリウッドは考えるからだ。ところが、映画そのものの上映開始が北米以外では遅れるので、日本での映画上映開始前に北米で DVD が発売されると、北米版 DVD を輸入して見る奴がでてくる。これでは、日本で DVD の発売を遅らせても意味がない。そこで、リージョンコードという悪魔の技術を考え出した。これで「北米」リージョンコードの埋め込まれた DVD は日本で普通に発売されている DVD プレーヤーでは再生できないので、北米地域での DVD の発売時期は、日本での映画公開スケジュールに関係なく計画できるというわけだ。。
これってかなりハリウッドの身勝手な話だ。技術の進歩にマーケティング手法を会わせて世界一斉公開すればすむ話なのに、てめーらの古くからのマーケティング手法に無理やり技術を会わせさせたのだから。それに、だいたい、ハリウッドは、DVDの恩恵にずいぶんあずかっている。DVD は、可動部分がないので、製作費をビデオテープよりとても安くできる。恐らく一枚 $1 とか、そういった原価のはずだ。それを、ビデオテープよりやや高い価格で売っているわけで、ハリウッドはガハガハの大もうけをしているはずだ。もう十分儲かっているのだから、リージョンコードとかくだらんことして消費者に不便を強いるようなことはやめてほしい。
しかし、見れないものは仕方ないので、我が家ではジェラシックパーク DVD を見る時に限って、オレの日本で買った DVD 付きパソコンの使用を息子に許していた。しかし、たかが DVD を見るためだけのためパソコンを立ち上げなければならないし、画面は小さいし、何故か時々フリーズするので、不便だった。
が、ある日、実はリージョンフリープレーヤーなるものが存在することがわかった。リージョンフリープレーヤーは、この邪悪なリージョンフリー技術をバイパスして、どのリージョンコードの DVD でも見えるようにする技術だ。そして、実は既存のプレーヤーの IC チップを入れ替えるだけで、リージョンフリーにできるらしいという噂をきき、ウェッブで検索してみた。そしたら何と、我が家にある DVD プレーヤーの場合、リモコンから隠しコマンドを打つだけで、リージョンフリーになるということがわかった。(しかし、よくこんなこと調べる奴がいるもんだ。感謝しているけど。)すばらしい!これでその日から、我が家では DVD プレーヤーと普通のテレビでジェラシックパーク日本語版が見えるようになった。ざまーみろ、ハリウッド!
と、勝利の余韻の覚めやらぬ12月の同じ週、妻子は少し早い冬休みで、妻の実家に里帰りすることになった。その前ゝ日に、ジェラシックパーク III の DVD が発売となったので、息子に買ってやったが、息子には見る機会が帰国日前の1日しかない。実家にはビデオデッキはあるが、DVDプレーヤーはないので、DVDを持って行っても見ることはできない。(DVDプレーヤーがあっても、リージョンコード問題のため、どっちにしろ見えないが。)
それじゃぁかわいそうなので、DVD から VHS テープにダビングして日本に持たせようかと思った。ところが、うまくダビングできないのだ。明るい場面はいいのだが、普通の色や暗い場面は、画像信号がとても弱くなった感じの雑音(雑画?)だらけの画面となってしまうし、音声も何だかはっきりしない。ビデオデッキが故障したのかと思い、試しに普通のテレビを録画すると、何の問題もない。これはひょっとしてまたハリウッドの悪知恵か?と思い、ウェッブで検索してみると、やっぱりそうだ。DVD プレーヤーの中にもうひとつの悪魔の回路が仕込んであって、ビデオデッキの自動画像明暗調整装置(?)をだますための信号が画像信号に載るようになっている。、暗い場面も明るい場面のように勘違いしてしまい、何だかはっきりしない画像になるというわけだ。どうやらリージョンコードの検出はソフトウェアで行っているので隠しコマンドがあったりするようだが、ダビング阻止装置のほうは純粋のハードウェア機構のため、オフにすることはできない。やっていることは基本的には単純なので、たぶんダビング阻止装置を無効にする機械、というのがアンダーグラウンドで製造・発売されているとは思うが、アナログ回路のハードウェアなので、そんなに安くはないはずだ。ということで、オレは DVD に一敗したのであった。
12月中ごろ、妻が日本の実家に帰国した。が、その後、年末までに必要となる書類を妻からもらうのを忘れているのに気づいた。でも大丈夫。郵便局の EMS という国際速達便を使えば東京からサンフランシスコなら普通は3日ぐらいで郵便が届く。妻の実家のいなかからでも4日もあれば大丈夫だろう、と思い、妻に書類を送ってもらった。これが、日本時間12月21日(金)、アメリカ時間なら前日の12月20日ということになる。郵便局からは、今クリスマス期間なので5日ほどかかると言われたそうだ。
EMS のいいところは、今荷物がどこにあるかをインターネットで追跡できるところだ。翌日、妻に電話で追跡用の番号をきき、日本の郵便局ウェブサイトでこの番号を入れるが、「データが登録されてません」と出てくる。土曜日(アメリカ時間。以下特に断りなければ同。)にやってもも同様。日本の郵便局の空く日本時間の月曜日、つまりこっちの日曜日に妻に頼んで郵便局にきいてもらうと、同じ追跡番号を二重発行したとかいう変な理由でインターネットからは追跡できないとの返事。しかし、郵便局の職員が追跡したところ、発送日の翌日(といっても時差があるので、実際には48時間後のこと)にはサンフランシスコについているが、日本の郵便局からはそこまでしか追跡できない、との返事を得た。よし、それならアメリカの郵便局のウェッブはどうだと思い、追跡番号を入力すると、こちらは「データが登録されてません」にはならず、12月21日に飛行機に乗った、という記録が出るが、着いたという記録はでてこない。うーん、おかしい。
翌月曜日、24日は、ひょっとして配達があったらいけないと日中はうちにずっといたが、ちっとも届かず。しびれを切らして、夕方頃、配達担当の局に電話して調べてもらうが、みつからない、との返事。
さらに翌25日。クリスマスで休日だが、速達の配達はあることになっているし、日本の郵便局で言われた5日間かかるのが本当なら来るはずの日なので、また一日中うちにいたが、ちっとも届かず。日米両方の郵便局のウェブで追跡を試みるが、日本はデータがなく、アメリカは飛行機到着の記録がない。26日も同じ状況。
これはもうクリスマス休暇前後で、超忙しい上、あまりやる気のないアメリカの郵便職員がどっかの棚に置いたまま放置されているに違いない、とあきらめて、書類に関しては次善の策を取るため、あちこち走り回ることとなった。26日からは平日で、仕事があるわけだが、おかげでちっとも仕事にならない。
3日経過。EMS のことはすっかり忘れた28日、金曜日の夜帰宅すると、おおなんと不在時配達通知の紙が郵便箱に入っていた。
ふざけんなー!EMS が着くのに、暦の上で7日、実質では8日かかったって?おまけに追跡もできなかった。これじゃ普通郵便と変わらないじゃないか。本人がいないと受け取れない分、不便なぐらいだ。おまけに、送料は高い (1200円) し、不着のために妻と連絡を取るのに電話代もかかったし。さらに、日米の郵便局は、さすがに役人らしく、責任の押し付け合いをして、さっぱり話にならない。
腹が立つのはこれだけじゃない。土曜日は、再配達に備えて午後までずっとうちにいたのだが、配達がなかった。3時半ごろ用事があって外に2時間ほど出ているうちに再配達があり、また紙が残してあった。どうも、再配達は普通の郵便配達スケジュールで行っているようなのだ。速達なんだから、一日2回ぐらい配達しろ!速達は、日曜日も配達するはずなのだが、来なかった。どうも日曜日には最初の配達しかせず、再配達はしないようだ。ひどい話だ。
そんなわけで、オレがこの郵便物を最終的に手にしたのは、12月31日の朝、郵便局に取りに行ってだ。配達から暦の上で11日後、実質12日後。これで、速達だって?もう、オレ、郵便局なんて信用しないもんね。今度こういうことがある時は、FedEx 使うもんね。
ところでEMS とは関係ないのだが、今年は年賀状がほとんど来ない。いくら海外に引っ越したとはいえ、せめて去年の半分位は来るだろうと思っていたが、ちっとも来ない。単に郵便局がのろいだけならいいんだけど、それにしてもいくら何でもこんなに遅いのはおかしい。やっぱり日本人の知人友人親戚からオレ達見捨てられたのかなぁ?悲しい。
バニラ・スカイ。オレは、この映画の広告を見て、きっとトム・クルーズとキャメロン・ディアスのお気楽ラブコメディーに違いない、と決め付けていた。はっきり言ってあまり気が進まなかったのだが、友達が見たいというので見に行った。
トム・クルーズの演じる裕福な2代目青年独身社長が、それなりに立派な家の立派なベッドから起きるところから始まったので、ほれやっぱりねー、と思った。しかし、その次のシーンから、あれ、ちょっと違うぞ、となった。次のシーンも、最初の繰り返しで、また起きるシーンなのだが、その後の展開が違う。どうもただのラブストーリーではなさそうだ、とこの時気づいた。
まだ見てない人のために、その後の展開を書くことはやめておく。そのかわり、見る上のアドバイスを少し。この映画、やたらと長い。2時間以上ある。おまけに筋が入り組んでいて、きちんと理解しながらみようとすると結構労力を要する。夢のシーン、現実のシーン、混乱した頭からみたちょっと歪曲した現実のシーン、などが入り混じっていて、どれが夢でどれが現実か、などと考えると頭痛がすること請け合いだ。とりあえず、理解するのはあきらめて、ただ受け入れておき、映画館を出た後、ゆっくり考えるのがいい。そもそも理解できるような筋ではない。それから、映画の最初のセリフを覚えておくことをおすすめする。最後のセリフと合わせて考えるとなかなか意味深長だ。
映画の宣伝には、「本当の愛とは何かを模索する。」などといかにもマーケティングの考えそうな客引き常套句が書かれているが、この映画はもっと根源的な問題を提起した、とても哲学的な映画だとオレは思う。この人生は夢?その夢を見ているのは誰?夢の中で起きた夢の中で起きた夢・・・・は、いったい誰の夢?現実ってあるの?みんな夢じゃないの?
それにしてもペネロペ・クルスという女優、初めて見たが、なかなかセクシーでいい。ああいう子に、スペイン語訛りのちょっと素朴な感じの英語で話し掛けられて見つめられたら・・・(家庭不和の元になるので以下略)。
この時期になると、昔っから気になってしかたないのが、「A Happy New Year」という文面で始まる年賀状。素直に「謹賀新年」とか「あけましておめでとうございます」と日本語で書いてりゃいいものを、何故か英語で書きたい人達がよせばいいのにこう書いてくる。それも皆同じように「A Happy New Year」と間違いを書いてくる。
そりゃ、完成された文章として書く時は、「I wish you a happy new year」と a をつけるのが正しいけど、ただおめでとう、と言いたい時は、いちち A なんてつけるのは変だ。その証拠に、こちらの看板や電光掲示板に流れる文をみると、A なんてついてない。ただ「Happy New Year 」と出る。
きっとこれ、どっかの誰かが日本で初めて書いた英語(のつもり)の年賀状が間違っていて、その伝統を日本人全員が受け継いだんだろうなぁ。でも、そろそろ誰か直してもいいんじゃないか?
あけましておめでとうございます。世界的にも去年はテロがあったり、ハイテク不況が来たりと、して大変な年だった。オレ的にはそれに加えて海外に引越したらいきなり失業者で、とっても大変で、くら〜〜〜〜い年だった。2002年は少しは光明の見える年になってほしいものだ。
さて、オヤジは常に世間に逆らって生きてきたので、オヤジ通信の今年の目標は、暗い世間に逆らって、明るい記事を多くすること。だから、今年はバカヤロコーナーは廃止する・・・と思っていたのだが、年末に郵便局にひどい目にあったので、やっぱり書いてしまった。でもこれは、去年のことということで、2月号からはバカヤロコーナーはなしだ。まいったか!ははは。(いつまで続くか?)
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