帰国オヤジ通信改メ

流浪オヤジ通信2002年2月号

ご挨拶

こんちは。オレ、黒坂。クロサカだよ。クロイタじゃないよ。クロサワでもないよ。間違えるなよ。

アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。

10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来てしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。

編集方針

画像満載、JavaScript 搭載、HTML最新技術使用のウェッブページが最近やたらと多くて、表示にやとても時間がかかり腹が立つ。なーにが、ダイナミック HTML だっ、さっさと表示しやがれ。Flash だとぉ、おととい来やがれ。こういのに限って、表示に時間がかかった上中味がなかったりする。流浪オヤジ通信は、サクサク動くテキスト中心のデザインを編集方針とする。(誰だ、手の込んだのを作るのが面倒なだけだろうなんて言う奴は。バレたか。)

 
 

目次

チップ制度

アメリカに何年住んでも慣れないのが、チップ。特にレストランのチップは毎日のことだけにいやになる。請求書をよく読んで、税金追加前の請求額の 15% から 20%を計算しなければならない。レストランによっては、勝手に 15% 〜 20% の間の固定割合を勝手に追加してある場合もあるので、二重に払わないよう注意しなければならない。(なお、Service と書いてあれば、サービス料のこととすぐわかるだろうが、ほとんどの場合、gratuity という聞きなれない単語が書いてあるのできをつけよう。)

日本では、いや、世界のほとんどの国では、チップというのは、本当に気持ちのいいサービスをしてもらった時(や、してもらうことを期待する時)にだけ渡す気持ち程度のお金であって、払うのがあたりまえの義務ではない。ところが、アメリカの主流の考えでは(なぜこういうもってまわった言い方をしているかは後でわかる)、チップは義務である。なぜ義務か?ウエィターやウエィトレスは、レストランからはとても安い給料しかもらってなく、それだけでは生活できない。彼らがまともな生活をできるようにするためには、客はチップを払うべきである。標準的な額 15% 〜20% を払うのが正しい社会人としてのわきまえである。例えサービスが悪くてもいくらかは (10%?) 払うべきである。ふーん、そういうもんかねぇ。

観光書とかには昼は 15%、夜は 20% 払う、とあるが、これも人によって随分違うようだ。オレの会社の気前のいいセールスのお兄さんは、昼、とてもチープなチャイニーズで食べても平気で 20% 払う。違う友人で、ウェイトレスを長くしていた人も、チップをはずむ傾向にある。でも、他の人達は、だいたい 15% にちょっとイロつけるぐらいだ。レストランではないが、日本の観光書には、ホテルに泊った時は、毎朝枕もとにチップを1ドル置け、とか書いてある。しかし、まわりのアメリカ人にきいてみたところ、そうしている人もいれば、そんなことしたことない、という人もいた。実は、アメリカ人も、チップに関しては共通の理解があるわけではなく、考え方は結構バラバラなのだ。というか、アメリカ人でも、普段使わないサービスに関してはいくらのチップを払うべきかなのか、結構まごつくようで、アメリカ人向けの観光ガイドにも、チップの目安が載っていたりする。(ちなみに、この前たまたま読んだチップガイドによると、ホテルでベッドメイキングに払うチップは、1泊あたり1ドルではなく2ドルだそうだ。さらに、毎日払わなくてもよく、最後にまとめて払うのでOKとある。)こんなに面倒で、皆が困ることなら、やめればいいのにと思うが、アメリカ人はこういうところはなぜかロジカルではない。

と思っていたら、新聞の日曜版についてくる雑誌に面白い記事がのっていた。チップに関する考え方は、アメリカ人の間でも、人種によってばらつきがるというのだ。その記事には、レストラン業界で流布しているステレオタイプが紹介してあったので、翻訳しておこう:

  1. 女性だけのグループは、支払いが別々で、酒はあまり飲まず、チップの額は少ない。(つまりケチ。)
  2. ユダヤ人カップルは、いろいろと注文が多いが、それにきちんと応えるとチップがはずむ。
  3. ヨーロッパ人はサービス料込みの請求書に慣れているので、チップを1セントもくれない。(じゃあ、日本人も払わなくていいのかな?)
  4. 出張中の白人またはアジア人のビジネスマンは最低 20% のチップをくれる。
  5. アフリカ系アメリカ人(訳者注:黒人のこと)はほとんどチップをくれない。
で、最後の黒人がチップをくれない理由なのだが、別に貧乏だから、というわけではない。彼らの考えでは、ウエィターやウエィトレスがまともな生活をできるようにする義務は、レストランが負担すべきで、客が負担すべきではない、ということだ。御意。まったく、その通りだ。レストランが皆きちんとした給料払えば、客がチップで頭を悩ませなくていいわけだ。この記事を読んで、オレは黒人を急に身近に感じるようになった。ヘイ、ブラザー。

ハーブトーフ

トーフといえば、アメリカの中で最も定着したといえる日本の素材だ。正確に言えば、中華料理でも使う素材だが、何故か日本語のトーフという言い方が定着している。(ひょっとして北京語でも同じ発音とか?)さすがにそのへんの角のコンビニで売っているところまではいってないが、ちょっとしたスーパーでなら売っている。値段は日本よりちょっと高くて1ドル半から2ドルぐらい。(日系のスーパーなら1ドル前後。)絹ごしはあんまりなくて、木綿が多い。健康志向のカリフォルニアのことだから、有機栽培(オーガニック)豆腐はある。

カリフォルニアは菜食主義者が多い。特に若者は、粋がるせいか結構多い。オレは vegitarian だぜ。red meat は食べないぜ、なんて言うとちょっとかっこいい。(read meat というのは、牛肉・豚肉のこと。鶏肉と区別してこう言う。) vegitarian の急進派は、ベーガン (vegan) といい、こちらは肉は勿論、乳製品も口にしない。要するに牛乳とかヨーグルトととかはだめだ。確か卵もだめだったような気がする。

そういう彼らにとって、トーフは頼もしいお友達。トーフのサラダ、トーフの炒め物、トーフ入り味噌汁(といっても、出汁も使わずただ味噌をお湯で溶いただけだったりする)なんてのは序の口で、トーフを利用した料理がたくさんある。肉の代用品で、トーフバーガーとかいうのがあるし、トーフをミルクシェーキ風にしたトフーティという飲み物もある。トーフではないが、この前は、大豆を加工したソーセージもどきを店で見つけた。

先日妻が、トレーダージョー で豆腐が安かったので買ってきたと喜んでいた。80セント。確かに安い。トレーダージョーというのは、ワインや輸入食品に強く、質はいいのに値段の安い品物をそろえたチェーン店だ。妻はその豆腐で味噌汁を作って出してくれた。が、豆腐をよーく見ると、名にやら黒い粒が入っている。何だこりゃ?勇気を出して食べてみると、口の中に広がるのは、なんともいえない変な味。あれー?妻にきくと、それがねー、さっきラベルみたら、ハーブ&ガーリック入りなの。なにー?豆腐に薬草(ハーブ)とニンニクだとー?おい、毛唐、おまえら何考えてるんだバカヤロー、と思わず差別的発言が口をついて出てしまった。同時に、豆腐にハーブを混ぜるなんて、とても日本人には考えられないすごい発想だと感心。これで美味ければいいんだけどねー。その日オレは豆腐は勿論、味噌汁の汁も残してしまった。だって、ニンニク臭いんだもん。しかしこの分では、ビーフ風味豆腐とか、チリペッパー入り極辛豆腐とかあってもおかしくないなぁ。(注:日本での発音に従ってハーブと書いたが、フランス語起源の言葉なのか、アメリカでは h は発音せず、アーブと発音するのが主流。)

教訓:アメリカで買い物する時は、ラベルをよーく読みましょう。

ところで、トレーダージョーで売っている豆腐は、防腐剤を使用していないと書いてあるににもかかわらず、賞味期限が一月後になっているがどうも気にかかる。豆腐って、一週間ぐらいで腐るんじゃなかったっけ?いったいどうなっているのだろう?

新しい家族

年末に我が家の家族が増えた。といっても、赤ん坊が生まれたわけではない。日本に帰ることになった方からハムスターを1匹もらったのだ。その方が9月に購入したばかりのメスのハムスターだ。名前をちゃーちゃんという。
ちゃあちゃんです、
よろしく

ハムスターといえば、かわいい動物のようなイメージがある。たしかに、かわいい。小さな手でチーズをつかみながら口に入れている姿は、何とも愛嬌がある。

しかし、ちゃあちゃんは、ハムスターの中でもやや攻撃的のようだ。最初の数週間は、水の交換のために手をカゴの中にいれると、指を噛まれてしまった。ハムスターは目があまり良くないので、指を食べ物と間違えて噛むことがある、ときいてはいたが、食べ物と間違えて噛んだというよりは、攻撃として噛んだような気がする。というのも、突然やってきて強く噛むからだ。何回か指から血がにじんだこともあった。また、時々神経質そうに、カゴの金属ワクをガシガシ歯で噛む。ハムスターは、放っておくと歯がどんどん生えてくるので、常に堅いものを噛まなければならないというこは知っていて、その為に樫の木片や、堅い食べ物を与えているのだが、ちゃあちゃんは金属ワクを噛むほうを選ぶ。ちょっと変わったハムスターであった。

それでもやっぱりちゃあちゃんはかわいく、妻子はちゃあちゃんとよくたわむれている。元々ハムスターを飼いたいと思ったのは、一人っ子の息子の情操教育の為なのだが、どうも息子よりも妻のほうがちゃあちゃんを気に入っているようで、時々ちゃあちゃんをじっとながめたり、話しかけたりしている。6歳になる息子は、アメリカで手に入れたハムスターなので日本語は通じないと勝手に思い込み、ちゃあちゃんには何故か(超カタコト)英語で話し掛けている。このオレですら、時々ちゃあちゃんを観察したり、エサをやったりして、結構なごんでいる。いやぁ、ハムスターってなかなか面白いものだ。

編集後記

どうも最近、日本からの郵便物の遅配が目立つ。去年は東京からなら普通の航空便の封書なら5日ぐらいで来ていたのに、最近は平気で3週間ぐらいかかっている。ひょっとして、海外からの郵便物は一箇所に集められ、タンソ菌の滅菌処理を行っているのではないだろうかと疑っている。

今年年賀状があまり来ないのは、そのせいかと思ってしばらく待っていたのだが、結局1月20日に届いたのが最後の年賀状で、やっぱり少ない。年賀状回収率は去年の3分の1といったところだ。特に親戚筋からの義理年賀状が全くといっていいほど途絶えてしまった。結構冷たいもんだね。そんなわけで、お年玉付き年賀ハガキは一枚も当たりなしだった。(どうでもいい知識:ちなみに、厳密にはお年玉くじは、ギャンブルになるので、アメリカに送るのは違法だそうだ。お年玉付き年賀ハガキをアメリカに送る時には、お年玉の部分を塗りつぶすことになっているそうだ。というのは数年前の朝日新聞の記事の請け売り。ホントかな?

もっとも、普通の年賀ハガキに20円切手を追加すればそのまま海外に送れる、ということを知らない人が多いのも、年賀状が減った原因のひとつのようだ。そうなんですよ、皆さん。フツーの年賀ハガキに、20円切手を追加で貼るだけなんです。カンタンですよ。どうか、来年はよろしくー。


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(C) 2002 KUROSAKA Teruhiko