流浪オヤジ通信2002年12月号

ご挨拶

こんちは。オレ、黒坂。クロサカだよ。クロイタじゃないよ。クロサワでもないよ。間違えるなよ。

アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。

10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来てしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。
編集方針は、こちら

 
 

目次

全日空国際線搭乗記

11月には、東海岸と日本への出張があった。 ユナイテッドのサービスの悪さ、特にメシのまずさにいやになっていたので、今回は、日本への往復は全日空を利用してみた。 往復と行っても、行きはニューヨーク John F. Kennedy 空港 (空港コード JFK)から成田 (NRT)、帰りは成田からサンフランシスコ(SFO)という変則往復だ。

JFK→NRT

東海岸から日本は遠い。 西海岸からなら10時間なのが、13時間もかかる。 3時間しか違わないように思えるが、この差は大きい。 10時間なら、寝て起きるとちょうど、という感じだが、3時間余計にあると、なかなか時間が余ってしょうがない。 歩き回れないのが3時間多いのは結構つらい。

機内は、結構空席が目立つ。 7割弱の混み具合か? ほとんどが日本人だ。 やっぱり、全日空なんて日本人以外に知名度がないからかと思う。 空港までのタクシーの運転手も、最初、All Nippon Airway と言ったら、おお Japan Airline だな、まかしとけ、と答える始末で、ホントに知名度がない。

機内設備だが、エコノミーなのに席ごとにチャンネルの変更できる液晶テレビがついていて、感激した。

飛行機が動き始めると、機内の安全設備だのなんだのの説明があるが、これが結構くどくて長いのはちょっといやになった。 全日空のスチュワーデスの英語はうまいとは言えない。 おまけに変に気取って発音しているので、なんだかヘン。 でもそれは初々しくも感じられた。

飛行機が飛び立つとオシボリのサービスがある。 ユナイテッドも日本のサービスを見習ってか、10年ぐらい前からオシボリサービスをやっているが、こいつらは香水のニオイ付きで、おまけに水気が多すぎてびしょびしょだ。 その点、全日空のオシボリは無臭で、適度な湿度。 そうそう、オシボリはこうじゃなくっちゃね。 ほんとに、何でアメリカ人はこうもニオイをつけたがるのか不思議だ。

食事だが、エコノミークラスなのにちゃんとしたオードブルがついているので感激。 スモークサーモンとハムとトマトだった。 サラダは、ユナイテッドみたいな乾燥サラダではなく、みずみずしい野菜のサラダ。 代用バターではなく本物のバターが出る。 何と言ってもうれしいのは、一口そうめんが付くことだ。 やっぱり、オレ、日本人? メインディッシュの焼肉はやや甘過ぎの感があったが、つけあわせのご飯が、豆ご飯なので許しちゃう。 デザートのケーキはほんのりした甘さ。 アメリカの砂糖過多ケーキじゃなくてよかった。 ついてきたパンは、日本でよく食べるロールパンだ。 あまりに日本手的な味なのでこれはひょっとして日本で積み込んだのかと思いスチュワーデスにきいてみたが、作り方を日本から指示してアメリカの機内食会社に作らせているそうだ。 なんだ、アメリカ人、やればできるじゃん。

NRT→SFO

日本行きは結構ガラガラだったからと安心していたら、意外や意外、成田からサンフランシスコ(空港コードSFO)行きは混んでいた。 エコノミークラスは8割ぐらいの混み方だが、ファーストクラスとビジネスクラスは満席っぽい。 不況とは言っても金ある奴いるんだね。 乗客の構成も、行きうってかわって、外国人客も結構多くて3割ぐらいといった感じ。 サンフランシスコあたりなら、全日空も知名度あるってことか?

この便は、成田を夕方に発つとサンフランシスコに朝着くので、時差調整のためには、夕食食べたらさっさと寝るのがいい。 と、思ったが、機内映画を一本見てから寝ることにした。 見たのは、大林宣彦監督の「なごり雪」。 オレの青春時代にはやった歌をモチーフにした映画だ。 (歌ったの誰だったっけ?伊勢しょうぞう(漢字?)と誰かの二人組グループだったと思うのだが、思い出せず。)

ちょっと歌が懐かしくて見てみた。 もう50代になった人たちが青春時代を回想する、というものだが、要はある男を好きになった女がいて、だけど好きになられた男はそれほどその女が好きではなくて、都会にいって恋人連れて帰ってきて、それでも女はあきらめないで耐える、というストーリー。 まあそうね、昔ならあったかもしんないけど、今そんな女はいないなぁ、と思ってしまう内容。 途中で、その女の、男が自分になびくまでじっと耐えるという行動がまどろっこしくなって、見るのをやめた。 (やっぱ、オレ、日本人失格?)

その時、事件は起きた

それで、テレビを消して(言い忘れたが帰りの便も個人用テレビ搭載)、毛布かぶってリクライニング倒してさあ寝ようと、うつらうつらしかけた。 そしたら、横の席からゴボゴボ、っという音がする。 なんだー、と思って、まわりを見るとゴボゴボいう音は、横のオッサンから聞こえてくる。 大丈夫かなぁ?呼吸器系の病気かなぁ? と思ったが、しかしオッサン寝ている風なので、気にしないで寝ようともう一度毛布かぶって目を閉じた。 すると、何かが横から飛んできた。 えっ、まさかー!、といやな予感。 ひじかけを見ると、おお、吐瀉物の海。 横のオッサン、吐いたのだ。

しかしこのオッサン、吐いたのもかかわらず、まだイビキが聞こえる。 いや、ひょっとして相当悪くて気を失っているのかもしれない。 被害状況を確認すると、吐瀉物はオレのズボンにもかかっている。 すぐにスチュワーデスを呼びたいのだが、呼び出しボタンは吐瀉物に覆われている。 しかたないので靴も履かずに席を飛び出し、近くにいるスチュワーデスに事件を説明して、オレはトイレに入った。

トイレの中てズボンについた吐瀉物をとりあえず拭くが、なかなか取れない。 トイレから出てみると、スチュワーデスが総出で、そのオッサンの介護と、機内の清掃と、始めていた。 それが一段落すると、スチュワーデスは、オレに替わりのズボンに着替えさせ、オレのズボンを洗ってくれた。(こういう時のために、替わりのズボンが機内に用意してあることを初めて知る。)

オレの座っていた席は、吐瀉物まみれでとても座れないので、オレは違う席に移動した。 ゆっくり寝たかったのだが、こういう騒動に巻き込まれたため、興奮してさっぱり眠れないまま、飛行機は SFO に着いてしまった。 ちなみに、吐いたオッサンは何もなかったような顔して元気に出て行った。 オレに謝り来ることもなかった。 何て奴だ!

mModeだって?

11月の新聞には、AT&T Wireless という携帯電話サービス会社の二面広告が載っていた。 カラー液晶携帯の写真がずらり。 どうも小型ウェッブ画面サービスのようだ。 で、その名前が、mMode。 おい、これって、i-mode のパクリじゃん。 m は、monomane の m じゃないのか? それにしても、 日本もアメリカから物まねされるようになったのだから立派なものだなぁ。 などとしきりに関心していたのだが、、某事情通によると、これはAT&T Wireless と NTTドコモが正式に提携してやっている、いわば「正式な」パクリだそうだ。 なるほどね。

そういや、Sprint PCS という別の携帯会社も最近、カメラ付き携帯による画像転送サービスを開始した。 前にも書いたように、最近、アメリカでも小さい携帯が増えてきた。 どうやら、アメリカの携帯事情は、日本から2年遅れといった感じだ。

以前ここで、携帯のストラップに凝るのは日本人だけ、と書いたところ、読者から、それは日本の「根付」文化と同じもんじゃないかという指摘が寄せられた。 なるほどねぇ。 日本人は、ああいうものが200年前も好きだったわけだ。 ところで、ここサンフランシスコでは、携帯ストラップはあまり見ないが、最近、ピカピカ光るアンテナとか、交換用カバーとかを売っているのを時々みるようになった。 そのうち普及するんだろうか?(でも、実際にピカピカアンテナ使っている人は見かけないんだけど・・・。)

激白・オレは盗人だった!

と、突然告白するが、オレには盗難癖がある。 正確にいうと、オレの手には、ということだ。 本人は全く意識していなのだが、オレの手は、一度手にした筆記用具を自分の所有物と勘違いして、そのままカバンに入れてたり身に付けたりしてしまう。 郵便局で、銀行で、コンビニで、勿論会社でも、ちょとのつもりで借りたペンは、いつのまにかオレの物となるのだ。 その動作はあまりに自然で、あたかも自分の所有物だから当然自分のポケットにしまうという感じなので、ペンを貸した本人も、自分の物を取られたことに気づかないのだ。

たまにカバンを整理していると、買った覚えももらった覚えもないボールペンやらサインペンやらがやたらと出てくる。 一度など、頭の部分に「渡部」のシャチハタ印のついた立派なボールペンがカバンからd出てきてびっくりしたことがある。 あわてて当日寄った覚えのある所に片っ端から電話して、渡部さんという人はいませんか、ときいてまわったが、どこにもいなかった。 ごめんなさい、渡部さん。

そんなわけで、オレの机の上のペン立てはあっというまにいっぱいになる。 ここ数十年ペンを買った記憶がない。 まあもっとも、展示会でくれるペンやら、ホテルの部屋に置いてあるペンやらも「コレクション」の一部なので、全てが盗品というわけではないことを断っておくが。

そういや、この前ペン立てにみつけた、日本語の値札のついた青いグリップ付きボールペンはどこから取ってきたのだろう? ほとんどインクが残ってなかったので、あまり罪の意識を覚えずにすんだが。

今月の一言英語:ゴム首?

6月から車通勤を始めたので、交通渋滞に遭う機会が増えた。 言うまでもなく交通渋滞の主要原因は、自然渋滞か事故渋滞だ。 事故渋滞のうち、事故車や事故処理をする車が道を塞いでいて、後続車が完全に止まったり塞がれていない車線に車線変更をするために渋滞が起きる、というのは仕方がないし、オレも許せる。 しかし、アメリカでは、事故車を道の脇に移動して、全ての車線が走行可能になっているにもかかわらず渋滞が続いているこくことがよくあるのだ。 なぜか? 多くの人が rubbernecking (ラバ−ネッキング)するからだ。

rubbernecking = rubber + necking = ゴム首する、である。 これは、物珍しそうに事故車や処理中の風景を眺めることを意味する。 つまり、ヤジウマである。 よく見るために速度を落とし、それでいつまでも渋滞が続くわけだ。 オレの印象では、アメリカ人は、どうーも rubbernecking が大好きである。 そりゃ、車が横転したり大破していれば、日本人だって速度を落としてヤジウマに走るだろうけど、アメリカ人の場合、ちょっとバンパーに傷がついただけの衝突事故とかでも気になるらしい。 ひどい時にはただスピード違反でパトカーにつかまっているだけなのに rubbernecking する奴がいる。 こんなんで渋滞になるのだから、たまったもんじゃない。

しかし、rubbernecking=ゴム首する、とは面白い発想である。 まるでゴムのように首を伸ばして現場を見る、ということなのだろう。 これを日本でいうと、夏場の妖怪、ろくろっ首のことになってしまうが。

乳首誇張文化

アメリカの街を歩いていると、すれ違う女性の服の上から乳首の形がはっきり見えてどきっとすることが時々ある。 正直にいうと、どきっとするだけではなくて、ちょっとうれしくて、もっと見たいけどそうするわけにもいかないので、視線のやり場に困ってしまう。 さすが西海岸、昔のヒッピー文化の名残でノーブラなのかと思ってよくさらによく観察すると(オイオイ)、肩紐らしきものは見えてたりするので、ブラジャーはしている。 どうも、着ているブラジャーに乳首の形を隠す目的の厚めの布がついていないようなのだ。

運動のために競泳用プールに行くと、競泳用の薄い水着を来ている女性が当然多い。 日本ではしかし、水着の上から乳首の形が見える女性はまずいない。 ほとんどの人は、ニップレスとかいうのをつけて、見えないようにしてある。 ところが、こちらの女性の場合は、かなり当たり前のように形が見えている。 平気である。 そもそも、こちらではニップレスなど売っていないような気がする。

(昔々オレが若かった頃)日本人の女の子と話して知ったところでは、乳首=恥かしい、と思っている子が多かった。 そして、アメリカ人の女性は、日本人の女性と違って、乳首の形が透けて見えることを特に恥ずかしいとは感じないものと、ずっと信じていた。 あるものが見えるのだから、別にいいじゃん、と思っているだけだろうと。 だがこの考えはちょっと甘かった。 というのは・・・

ある日の当地の新聞に、こんな記事をみつけた。 最近の女性の間で隠れた人気商品がある、というのだ。 その商品の名を nipple enhancer、つまり乳首増強器という。 といっても別に毎日この器械を使ってトレーニングすると乳首がどんどん大きくなる、という類のものではない。 何のことはない乳首の形をしたプラスチックだ。 これを本物の乳首の上につけると、オッパイのプッツンがより大きく見えるということらしい。 ニセ乳首である。 乳首の大きさが小さくて困っている女性が使用する、と記事にある。 えっ困るの?

つまり、こちらの女性は、乳首の形が外から見えることを気にしていない、という消極的な理由ではなく、乳首の形が外からはっきり見えるようにしたいという積極的理由で、当て布なしのブラジャーをしているわけである。 恥ずかしくないどころか、色っぽくていいじゃん、とういわけだ。 まあもっとも、日本のように乳首の形を見せないブラジャーをしている人の方がたぶん多いみたいなので、女性全員がこう考えているわけではないだろう。 そもそもいろいろな考えの人のいるアメリカなので、一般化して考えるのは間違いである。 しかし少なくともこういう考えの女性が少なからずいるということはいえる。

日米の文化の違いには、とてもじゃないけど超えられない溝が横たわっている。

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編集後記

信じられないことだが、今月号も出張の飛行機の中で書いている。 8月から毎月のように出張している。 今回もダブリンに1週間だ。 いくら旅行好きでも、さすがに疲れてきたぞー。

先月号で触れた、オレのお薦めのコーヒー紅茶チェーンのピーツだが、書いたことは間違いで、第一号店は南青山であった。 ベイエリアに住んだことのある、ピーツのファンだった日本の友人が行ってみたところ、苦味が強く、かなり濃いくせのある味は日本でも維持しているそうだ。 が、例によって値段はアメリカより高めらしい。 日本のピーツのウェブサイトは、www.peets.co.jpである。

あっというまに2002年も終わろうとしている。 今年立てた目標の、もうちょっと明るめの記事をというのは、やっぱり挫折してしまった。 ま、しかたないね。 では、よいお年を。


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(C) 2002 KUROSAKA Teruhiko