帰国オヤジ通信改メ

流浪オヤジ通信2001年9月号

ご挨拶

こんちは。オレ、黒坂。クロサカだよ。クロイタじゃないよ。クロサワでもないよ。間違えるなよ。

アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住。四十うん歳。妻子あり。職業:ソフトウェア・ヘンジニア。

10年ほどアメリカはサンフランシスコ近辺に住んでから日本に戻てきた帰国子女ならぬ帰国オヤジだったわけだが、やっぱりなんとなくなじまないので、またサンフランシスコに戻って来てしまった。しかし、アメリカに来てもアホなことはたくさんあるので、やっぱりグチは減らないわけ。そうういうこととか、そうでないこととか、適当に書き散らしたので、ヒマなら見ていっておくれ。

編集方針

画像満載、JavaScript 搭載、HTML最新技術使用のウェッブページが最近やたらと多くて、表示にやとても時間がかかり腹が立つ。なーにが、ダイナミック HTML だっ、さっさと表示しやがれ。Flash だとぉ、おととい来やがれ。こういのに限って、表示に時間がかかった上中味がなかったりする。流浪オヤジ通信は、サクサク動くテキスト中心のデザインを編集方針とする。(誰だ、手の込んだのを作るのが面倒なだけだろうなんて言う奴は。バレたか。)

 
 

目次

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アメリカの入学式

息子マロン(自称)は5歳だが、当地では5歳から義務教育が始まる。アメリカの学校は9月から始まるのかと思っていたら、地域によって異なるらしく、サンフランシスコでは8月末に始まった。8月から、「ピカピカのぉ♪、一年生〜♪」というわけではなく、この国の最初の学年の呼び方は、「K」。Kindergarten (ドイツ語の幼稚園だが、実際に発音する時は、英語風にキンダーガーデンとなる。)の K だ。Kindergarten では、遊び半分の授業があり、1 年後の Grade 1 (1年生) での集団生活に慣らすのが目的らしい。

入ったのは、Clarendon Alternative School という、市立だが独自のカリキュラムでの教育が認められている学校だ。独自のカリキュラムとしては、日本語と日本文化を教える、というのがあり、日系人や日本から来た人たちの子供が結構多い。先生もある程度日本語がわかるので、いまだに英語をちっとも習得していないマロンには楽だ。義務教育なので、勿論無料である。

ただ、この学校、遠いのが欠点だ。車で行くと15分ぐらいかかるが、とんでもない坂を登る必要があり、我が家のボロ車で毎日送っていては、坂の途中でエンストという恐ろしい事態も予想される。そこで、マロンには、スクールバスで通ってもらうことにした。(スクールバスも無料。)

ただし学校初日だけは、クラス分けがあるため親も行かざるを得ず、オレと妻が行きだけ車で送ることにした。着いてみると、中庭で子供がたくさん遊んでいる。立て札に書かれたクラス名で担任の先生を探して、マロンを紹介すると、マロンに名前を書いたステッカーを貼ってくれた。しばらくして、並んでくださいという指示があり、クラス別に生徒が並ぶ。そして全員並んだことを確認して、先生の引率で建物の中へ入っていった。
クラスわけの列で不安げなマロン

さて、この記事の題名の入学式だ。生徒が建物の中に入った後、講堂で校長からの話があるので親は来てくださーい、と関係者らしき人が声をかけていた。おおやっぱりアメリカでも入学式みたいなのがあるのかな、と思って講堂に向かった。日本のように、椅子が整然と並べてあって、親はかしこまって座り、えらそーな校長の長話を聞くの図を思い浮かべて講堂に入る。

ありゃ、何だか様子が違う。椅子は周辺にバラバラな向きで放置されている。講堂の真中にはテーブルがあり、ジュースだのチョコレートだのクッキーだのが置いてある。講堂の後ろにはコーヒーサーバーが運ばれてきた。雰囲気、パーティー。どうみてもすぐには話が始まる様子もないので他の日本人の親達と立ち話。15分ぐらいすると、50才ぐらいの飄々(ひょうひょう)としたおじさんが壇上に登場。実は、噂では、この人が校長らしい。そして、いきなりしゃべり始めた。「ようこそいらっしゃいました。私の大事にしている5つのことがあります。家族、学校、家族、学校、家族の5つです。皆さんと協力していい学校にしていきましょう!」みたいなことを5分ぐらいしゃべって、これでおしまい。訓話でも何でもなくて、どちらかというと応援演説。簡単で大変よろしい!オレはこの学校が気に入ってしまった。

学校終了後は、マロンはスクールバスで帰って来ることになっていた。ところが4時頃、学校から電話。マロンはスクールバスが来る前にの列から離れてしまい、乗りそこねたとの事。さっそく初日からダジをふんだようだ。しかたないので車で迎えに行く。

この事件にもかかわらず、学校は楽しかった、と本人がいうのでホットするバカ親であった。

突撃ルポ:アメリカの ER の実態はこうだ!

カポエラをご存知だろうか?ブラジルの奴隷の間で発達した武術だ。音楽を演奏しなかがら、円陣を作り、1対1で戦う、キックを中心にした武術だ。熟練者は、逆立ちして頭で支えてぐるぐる体を回転させる、などというアクロバットもどきのこともやる。

オレは実は10年以上前にカポエラをちょっとだけ習った。今回サンフランシスコに引越した後、トシも考えずにまたカポエラを習おうと思い、練習に行った。

練習では、準備体操の後、基本の型をやり、最後に円陣(ホーダ)を作り、対戦する。対戦するといっても、別に相手を本当に倒すわけではなく、通常はキックが相手に明らかにぶつかりそうなら、ぶつかる前に止める。本当にやるのは、足を払うことぐらいだ。

オレは復帰初日なので、対戦はしないで、ただ円陣にいようと思っていたが、隣に座った人が、おいオマエも行けとすすめるので、ちょっとだけやることにした。ところが、思ったより体が動くのをいいことに、調子にのってペースを速めた。相手の人も、オレができると勘違いして、ペースを速めた。その時、突然顔面に衝撃が・・・。正確にいうと右の眉毛のあたりだ。痛いのと頭がクラクラするので、座り込み、右の眉毛のあたりを押さえていると、血がダラダラ。ひぇー。関係者の言うままにペーパータオルで傷口を押さえて様子をみたところ血は止まってきたが、ちょっと気持ち悪い。家まで送ってもらって、看護婦資格のある妻に見せると、これは病院に行って縫ってもらわないとだめとの診断。というわけで、アメリカの救急病院を初体験することになった。

カポエラ関係者に連れて来てもらったのは、家の近くにある市営の病院。まず受け付けに行くと、来院の理由を聞かれ、次に血圧と体温を測り、住所等を記入させられた。しかし、これを全部、受付の窓口で患者を立たせたままやるので、びっくり。だいたい血圧なんて立ったままで正確に測れるのか?それにだいたい、オレはちょっと吐き気があると訴えているのに、ひどいもんだ。

ところで、アメリカは国民健康保険などないので、貧乏人にや、違法滞在者には健康保険がない。こういう人が病気になるとどうするかというと、市販薬で様子をみて、どうしようもなくなったら救急病院に来る。でも普通の救急病院では保険も金もない人は診療拒否をされることがあるので、この市営病院に来る。そんなわけで、この救急は大忙しで、治療まで3時間はかかると覚悟して行った。

が、行った時は意外にもすいていて、すぐに移動式ベッドに載せられ、手術室らしきところに移動させられ、医者がやって来て診察だけしてくれた。そしてまず、医者から問診を受け、次に足や腕をひっぱって、額以外に問題箇所はないかを確認し、頭がやられてないかどうかを確認するため、今日の日付とかをきかれたその後、破傷風か何かのワクチンの注射をされ、治療の説明を受けた。ここまで、実にスムーズ。

で説明通りに手術が始まった。まず、傷口を水洗。これをしつこく何回もする。傷口にかけるので、結構痛い。あまり何回もかけるので、気持ち悪くなる。その後、局所麻酔を針であっちこっちにチクチクやる。麻酔が効き始めた頃を見計らって縫合を開始。しかし何針か縫ったところで、病院内がちょっと騒がしくなってきたことに気づく。しばらくしてから、病院のスタッフがやってきて、手術をしている医者に、急患の様子をちょっとみてほしい、という。おいおい縫合中だぞ、とオレは思うが、「すぐ戻りますから」とか言って医者は行ってしまった。

5分ぐらいで戻って来るのかな?と思ったが、いくら待っても戻ってこない。こっちは上半身だけ薄い布の手術着に着替えさせられているのでスースーして寒いし、腹和は減るし、喉も渇いてきたので、とっとと手術を終わらせてほしいのだが、医者が戻ってきそうもない。様子をきくため、何かを取りに部屋に来た職員に話し掛けようとしたが、声が小さかったか、病院内が騒がしいせいか、聞こえなかったようだ。結局医者が戻って来たのはオレの感じでは30分ぐらい後だ。

縫合を再開するが、心配したように麻酔が少し切れてきた。あと数針で終わりと思って、だまっていたが、6針ぐらい縫っても医者はまだ縫合をやめようとしない。医者にあと何針縫うつもりかきくと、まだかなり縫わなければならないという。その時には、針を刺すのがわかるぐらいに麻酔が切れてきたので、その旨伝えて、麻酔を追加してもらう。

やっと縫い終え、着替えて、書類にサインして、病院を出られたのは、来院から2時間経った夜11時過ぎ。その時は救急部は野戦病院のように混乱していて、ヤクのやりすぎで頭がおかしくなってそうな患者とか、保険がないのでどうしようもなく悪化させてしまった患者とか、治療に来た犯人の逃亡を防ぐためにいると思われる警察官とかで、廊下はあふれていた。どうりで医者がすぐに戻って来なかったわけだ。

しかしアメリカの病院の治療でびっくりしたのは、縫合後、傷口をガーゼで覆わないということだ。傷口は開放したまま帰らされた。2日間は、傷口は乾かし、その後は石鹸等で洗ってきれいに保つこと、という指示があった。縫合した糸の余りをちゃんと切ってくれてないので、眉毛のまわりに緑色の糸が飛び出している。両眉についた血糊はちゃんと洗浄していない。
縫合後、開放状態で帰宅。
糸が飛び出している。

日本では、傷口の消毒のため、毎日通院するように言われるのだが、ここでは、5日後に抜糸に来て下さいと言われただけ。日本で看護婦をしていた妻は日本での治療方法とあまりに違うので、驚いていた。国は違っても人間の構造は同じだから、治療方法も同じはずなのに、何でこんなに違うんだろう?

まとにかく、今回の教訓としては、今度救急病院にお世話になる時は、市営病院は避けようと思う。

トラブルその後

先月号に書いたdiscount-hotels.com の件は、オレの全面勝利!会社側が折れたのか、クレジットカード会社からの回答期限内に答えなかったせいなのかよくわからないが、おととい来たクレジットカードの請求書によると宿泊代も手配料も払わなくてよくなった。

トラブル星取表
相手 トラブル内容 現状 勝敗
ヘルスネット 相手は30日分追加支払いを請求。 オレは、15日分返還を主張。(経過詳細) 州健康管理局に苦情を申し立てたところ相手の態度が軟化。 主張したより多い全額の払い戻しがあり、満足に終了。 ☆☆
ヒーローズ 納車の日に動かなかったパワーウィンドーの修理を要求するも相手から正式な返事なし。(経過詳細)しかたないので自分で修理に出して、修理代を請求中。 オレの出した手紙はすべて無視される。新たにオイル漏れみつかる。
United Visa
(First USA Bank)
ユナイテッド航空提携クレジットカードの申請を毎回違う理由で3回拒否される。(詳細は来月号掲載予定) 抗議の手紙を書いたら、カードが送られてきたが、引越しに伴う主要な買い物の終わった後なので、うれしさ半分。 ☆/2
HRN
(discount-hotels.com)
同サービスを通じて予約、前払いしたホテルの設備が記載内容にまるで満たない。宿泊費半額の払い戻しを請求。(詳細) クレジットカード会社に支払い停止を指示。宿泊費全額返還! ☆☆



















編集後記

諸行無常とはよく言ったもの。まさかニューヨークのシンボルのビルが2棟ともなくなるなんて誰も考えなかった。アメリカ中の空港が2日以上も閉鎖する何て考えられなかった。おまけに、世界最強のペンタゴンまで攻撃されるとは。

しかし、民間機をハイジャックしてそれをミサイル代わりにして攻撃するとは、よく考えたものだ。すごい発想だと感心してしまった。もちろんこんなこと許されてはいけないわけだが。

しかしよくわからないのは、この事件を実行した人たちの動機だ。いくら国あるいは宗教のためとはいえ、自分が死んでしまったら、意味がないじゃないか。何のためにこんなことするんだ?・・・と書いた後に読んだ新聞記事によると、聖戦士として死亡すると、天国に特急コースで行けるし、天国では22人(?)の処女が待っている、と信じられているそうだ。だから聖戦士が殉死すると、死体のチンポが穢れないよう、布でおおうことすらするそうだ。まったく信仰というのは恐ろしい。

このテロ事件を仕掛けた奴(アメリカ政府は、オサマ・ビン・ラディンだと証拠もなしに決め付けているが)の誤算は、世の中のほとんどの国が、アメリカ支持に廻ってしまったことだろう。あのキューバまで支持に廻っている。商業ビルを攻撃して無差別に多数の国の人が犠牲になればアメリカだけでなく世界を敵に廻すということをぜ彼らは考えられなかったのだろう?まったく不思議だ。

この事件の犠牲になった皆さんのご冥福をお祈りする。

なお、この事件は、オレがロサンゼルス近郊に出張中に発生した。飛行機が飛ばないので、帰りは8時間かけてレンタカーで帰るはめになった。


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(C) 2001 KUROSAKA Teruhiko